頭を冷やそう!(1):なぜ頭を冷やす必要があるのか?【いこい通信No.5】

当院では、患者さんに「心身が疲れたときは、頭を冷やしてください」とお伝えしています。
今回は頭を冷やすことの大切を述べたいと思います。

頭の主成分

脳は私たちの体のあらゆる機能をコントロールしています。

脳の主な成分は、水分を除けば「脂肪」と「たんぱく質」。そのうち、6割が脂肪でできています。
脂肪=油ですから、油が水に浮くように、脳も液体の一番上、頭の骨の中の水の中で浮かんでいます。

脳の自動冷却システム

脳は人にとって一番重要な部分ですから、脳を骨でヘルメットのように包んで保護しています。

しかし、そのぶん、熱がとても溜まりやすく、いったん溜まると熱が抜きにくい構造になっています。そのため、自前の脳冷却システム「血液」が私たちの体には備わっています。

怒りでかっとなったときの表現として、頭に血が上るという言葉がありますが、これは怒りによって熱せられた脳がそのまま過熱していかないように、血液が温度調整をしにいっているのです。

脳を冷やす必要性

しかし、血液による脳の冷却にも限界があります。

脳の温度(以下、脳温)が42℃を超えてしまうと、脳の主成分である脂肪がバターのように溶け、たんぱく質が目玉焼きの白身部分のように硬くかたまります。昔から高熱が恐れられてきたのは、こうして脳がだめになるからです。
高熱でなくとも、脳がうつ熱(熱が溜まった状態)に長い間さらされると、心身すべての機能が変調をきたします。

だから、脳の余分な熱を取り去り、頭を冷やす必要があるのです。

次回のいこい通信

高熱のとき以外でも、日常的に頭を冷やすことはとても有益で、大切なことです。
その理由の一つとして、次回は睡眠と脳温の関係についてお伝えしたいと思います。

沼井