冬になるとお手洗いが近いのはなぜ?原因は体の恒常性(ホメオスタシス)【いこい通信No.39】
こんにちは、宮川です。
すっかり寒くなり、夜中に尿意で目覚めることが多くなったのではないでしょうか?
「そんなに飲んでないはずなのに、なんでこんなにお手洗いが近いんだろう?もしかして頻尿?」
と不安な声を耳にしましたので、今回はなぜ冬になるとお手洗いが近くなるのかについて、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
原因は「恒常性(ホメオスタシス)」
冬になると日夜問わずお手洗いが近くなります。これは病気ではなく、体の「恒常性(ホメオスタシス)」が関係して起こる自然な反応です。
恒常性(ホメオスタシス)とは、体外環境が変化したとしても体内環境は一定の状態に保とうとするしくみです。
例えば、暑い時は汗をかいて体を冷やし、寒い時は鳥肌を立てて体を温めたりしますが、これによって私たちの体温は毎日ほぼ一定に保たれています。
さて、冬になると(=寒くなると)お手洗いが近くなるということは、気温と排尿が恒常性(ホメオスタシス)の維持に関係してるということです。
それはなぜか、詳しく見ていきましょう。
体温調節のしくみ
私たちヒトは水や食事を通して体温を調節しています。

暑い時の体温調節
暑い時は汗をかいたり、呼吸を早くしたりして、気化熱で体内の余分な熱を捨てます。しかし、それにはたくさんの水分が必要です。
ヒトは6割が水分でできていますが、暑い時は体の余分な熱を捨てるためにたくさんの水分を使うため、外から水分を補給しなければ体内の水分量が維持できなくなってしまいます。だから、夏場は喉がよくかわきます。
しかし、体内に入れた水分が温まってしまっては、気化熱で余分な熱を捨てた甲斐がありません。
体内の水温(体温)を上げるのは「食事」です。食べる量が増えれば増えるほど、体内で発生する熱量は多くなり、その熱量で体内の水分が温まります。そのため、暑い時はわざと食欲をなくして、なるべく体内の水温が上がらないように体が調節しているのです。

ただし、近年はエアコンが発達し、夏場でも涼しい空間をつくれるようになったため、食欲がなくなるということは昔ほど多くなくなっています。
寒い時の体温調整
寒い時はあまり汗をかきません。鳥肌が立ち、呼吸がゆっくりになって、気化熱でなるべく体内の熱が逃げていかないようにします。体内の水分を使うことが少ないため、喉はあまりかわきません。
また、寒くなると食欲がわき食べる量が増します。これは体内の水温(体温)を上げるためです。
食べる量が増すと自然と摂取する水分量も多くなり、暖を取るために温かい飲み物も口にするようになります。とはいえ、夏場ほど水分を補給しているわけではありません。
ではなぜ、お手洗いが近くなるのかというと、体内の水分量を減らして(食事による発熱で)温めた方が体内の水温(体温)を一定に維持しやすいからです。

最後に
お出かけの時、お仕事の時、寝ている時など、尿意をもよおさないか心配になる場面は多くあると思いますが、冬になると(寒くなると)お手洗いが近くなるのは自然なことです。
水分摂取を控えたり、お薬に頼ったりするよりも、「そういうものだ」と受け入れてあげた方が体には良いのかなと思います。
宮川


