頭を冷やそう!(2):安眠のカギを握るのは脳の温度【いこい通信No.6】

日本人の40%以上が睡眠の質に満足していない、という調査結果があることを皆さんご存じでしょうか?(レスメド社「2024年世界睡眠調査」より)

睡眠には傷ついた体を修復し、脳の機能を高める効果があります。
日頃の心身の健康にかかわってくるとても大切な睡眠ですが、その質を上げるにはどうすればいいのか…。それは「脳の温度(脳温)を下げること」です。

今回は、睡眠と脳温の関係についてお伝えしたいと思います。

睡眠と脳温の関係

人間の脳は日中休みなく活動していて、脳温を高い状態に保っています。夜になると反対に脳温は下がり始め、私たちは眠気を誘われます。

すると、脳で使われていた血液が手足に移動し、末梢血管に多くの血液が流れ、手足の皮膚表面から熱を放出します。そうして冷えた血液がまた脳や内臓に戻ってくることによって、脳温はさらに下がります。
深い睡眠状態では脳も休息し、代謝も低下するため、脳温も下がります。

日中は高く、夜は低い。この脳の温度差が安眠にはとても重要なのです。

ホルモンと脳温の関係

夜、就寝時刻の2時間ほど前から「メラトニン」というホルモンの分泌が増えてきます。メラトニンは眠気を促したり、脳温を下げたりする作用をもっていますが、日中明るいときには分泌が抑制されています。

しかし、夜遅くまでパソコンやスマホを見て、目の中にたくさんの光を入れていると、夜になってもメラトニンの分泌は抑制されたままです。

一方、夕方以降に分泌が減り、起床前の明け方に増えてくるのが「副腎皮質ホルモン」です。覚醒作用のあるこのホルモンのおかげで、私たちは朝、スッキリ目覚めることができています。

脳温が睡眠の質を左右する

このように、脳温の正常な上げ下げやホルモンの分泌は、体内時計と連動して互いに調整し合っています。

しかし、前回のいこい通信No.5でもお伝えしたように、脳温が高く、うつ熱状態だと睡眠の質は低下します。スマホやテレビ、夜勤などで夜遅くまで起きているとホルモン分泌が乱れ、脳温も下がりません。
また、心理的なストレス、悩みなどがあると脳がフル活動しているため、夜になっても脳温が高いまま、常にカッカした状態になります。

こうなるとスムーズに入眠できず、気持ち良く朝までぐっすり眠ることができません。

脳温を下げる方法

もし、あまり眠れない・睡眠が十分でないと感じたときは、氷枕で頭を冷やしてあげてください。

昔から「頭寒足熱」といいます。氷枕で頭と首の後ろを冷やして、足元はタオルケットで覆い保温してあげれば、これからの季節はきっと安眠できます。

沼井