地球環境の大切さ:水と私たちの健康について【いこい通信No.4】

私たち医療者は、健康や病気の話をするとき、どうしても医学的専門的な医療の事柄に終始しがちです。医学がこれほど進歩した現代では、何が原因だとか、こんな薬や検査がありますとか、こんな治療法がありますとか、話のネタには事欠きません。

しかし、なによりもまず、きれいな水や空気、大地、安全で十分な食べ物があってこそ、人の心身は健康でいられるのです。私たちはこんな当たり前のことを、なんだか忘れている気がします。

今回は命の原点、生きとし生けるものの源「水」についてお話します。

水の循環

地球を循環している水の総量というのは、大昔からほとんど変わっていません。
海の水が蒸発し、雲となって雨を降らし、地上に落ちた雨がまた川へ流れ、海へ出る。このサイクルを繰り返して、水は地球を循環しています。

私たちの生活用水もまた、川の水を浄水して使用し、使用した水はまた浄水して川や海に流すというサイクルを繰り返しています。

家庭用廃水

例えば、トイレ。

トイレをきれいに保つために「青い水(他の色や無色タイプもある)」を使ったり、「トイレに流せるおそうじシート」を使ったりすることがあるかと思います。

確かに使用すれば、トイレ掃除は格段に手軽になり、きれいに保つことができます。
しかし、自分の家の中だけをきれいにしたとしても、そのために使った汚水は巡り巡って飲料水として再利用されます。さらにいえば、包装用のプラスチックゴミも出るでしょう。

もちろん、汚染された水をそのまま飲んでいるわけではありません。
しかし、水を汚せば汚すほど、浄水処理に力を入れなければならなくなります。環境の悪化が進めば、私たちの飲み水も危険なものになっていくというのは想像に難くありません。

最後に

以前、公共広告機構のテレビコマーシャルで、汚染された水を飲んだ透明人間が少しずつ倒れていくというのがありました 。

大人は体の6割が水でできています。胎児なら9割、赤ちゃんなら7割以上が水で満たされています。つまり、私たちは大量の水分を体内に蓄えていることになります。
人間は水でできているといってもよいでしょう。

私たちの命は太陽からの光、母なる地球の恵みなしには存在できません。
厳しくも美しい海や山にいるたくさんの生き物は互いに食い食われ、共存することで生かされています。

目の前にある便利なモノや贅沢な暮らしは、もしかしたら私たちの命や健康と引き換えに得ているのかもしれないと、今一度、地球環境問題を生活の身近なところから考えてみたいものです。

沼井