腰痛と自転車(2):自転車は骨盤を不安定にさせる、自転車がもたらす体への影響【いこい通信No.19】
前回は骨盤(仙腸関節)が不安定になると腰痛が起こるとお伝えしました。
骨盤を不安定にさせる要因はいくつもありますが、代表的なものの一つは「自転車」です。
早速、本題の腰痛と自転車の関係について詳しく見ていきましょう。
自転車の振動が骨盤を不安定にさせる
骨盤(仙腸関節)は上半身の重さ(上からの垂直の力)と、床からの力(反力・抗力)が股関節をへて腸骨にかかる(左右からの挟む力)ことで安定しています。
ところが自転車に乗ると、お尻を乗せるサドルがちょうど恥骨と坐骨(寛骨)の部分に食い込んできます。ここに自転車の振動が直接ひびき、左右の寛骨(恥骨と坐骨)を引き離して(ゆるんで)関節がガタつきます。
また、自転車の上下運動は仙骨や尾骨を上へ突き上げ、仙骨を骨盤から引き離す(ゆるむ)力になります。
骨盤を安定させている骨がそれぞれ引き離され、ゆるんでしまう(不安定になる)ため、腰痛が起こってしまうのです。
これはオートバイやスクーターも同じです。
例えば、競輪選手
プロの競輪選手でも、筋力トレーニングで腰や太ももにあれほど屈強な筋肉をつけているにもかかわらず、腰痛で悩まされています。
彼らは骨盤の損傷や腰痛を防ぐために、タイヤのゴムチューブなどを骨盤のまわりにギュッ!と巻きつけてトレーニングしています。
自転車がもたらす影響
自転車に長時間乗って、骨盤(仙腸関節)が離れゆるんだ状態になると、お尻が大きくなり骨盤の安定性が著しく低下します。つまり、健康のためと思って一生懸命に自転車をこいでも、かえって骨盤が不安定になり、足腰を弱くしてしまいます。
また、骨と骨(関節)が引き離されると、お互いの骨に上下の力が伝わりにくくなってしまうため、腰や下半身に力が入らなくなってしまい、長く立っていられなくなります。
最近、電車やバスでもよく見かけますが、子どもや大人にいたるまで長くじっと立っていられないのは、骨盤の不安定さと脆弱性(運動不足に伴う骨の成長不足など)が一因です。
※骨の成長のしくみについては、こちらの記事をご覧ください。人間は置かれた環境に応じて姿形を変えていくことができるので、骨盤の不安定さはもちろん、骨の成長不足も、運動次第でいくつになっても変えることができます。
自転車生活は歩行姿勢にも影響する
毎日の移動手段が自転車中心の生活だと、歩く姿勢にも影響が出ます。
元競輪選手が「長時間、自転車でトレーニングした後は、なぜか皆がガニ股になり。練習後、歩いているうちに普通の歩行になっていく」という体験談を述べられています。
確かに自転車は便利ですが、自転車やバイクばかりに乗っていると骨盤がゆるみ、ガニ股(O脚)で肩で風を切りながら(肩を左右に揺らしながら)歩くようになってしまいます。
自転車に乗った後はどうすれば良いの?
元競輪選手の体験談に答えがあります。
自転車に乗ったとしても、その後にまとまった時間歩くことができれば、骨盤は再びキュッ!と締まっていきます。ポイントは「両肘を曲げたまま、腕を振って、大股で歩く」ことです。
沼井