骨はなぜ変形するのか?(1):骨の成長の仕組み【いこい通信No.8】

私たちの体を構成する大切な骨。
生まれたときの骨はとてもやわらかく、成長する過程でどんどん硬く丈夫になっていきます。

今回は、そんな骨の成長の仕組みについてお伝えします。

赤ちゃんの骨はほとんど軟骨

私たちが赤ちゃんの時、骨はやわらかい膜のような「軟骨」の状態です。
特に手と足の骨はほとんど軟骨で、レントゲンで見ても骨はまばらにしかありません。

軟骨を含む骨は、最初から硬いわけではありません。
硬く丈夫な骨になるためには、骨にカルシウムやタンパク質がしっかりと沈着して「石灰化」されることが必要です。

つまり、この石灰化が正しく行われなければ、骨はやわらかいままです。
どうしたら骨が丈夫に、かつ美しい形に成長できるのでしょうか?

軟骨が石灰化するのに必要なもの

皆さんは骨の成長、石灰化に必要なものは何だと思いますか?

赤ちゃんは起きている間、バタバタ手足をせわしなく大きく動かしています。力いっぱい手足を動かしたり、体を大きくひねったり…。つまり、ダイナミックな「運動」です。

このさまざまな動きが「圧迫力」「引張り力」となって軟骨に刺激を与え、次第に「石灰化」がスタートします。骨の完成は18~20歳頃です。

昨今の多くの子どもたちは、昔の子に比べて骨も身体もふにゃふにゃな印象を受けます。

これは、日常生活の中で体を動かすことが少なく、家の外でダイナミックに遊んだり、重いものを持ったりする機会が減ったからではないかと感じています。

運動の質と量が少ないと、骨に刺激が少ないまま成長します。

骨が十分に、かつ正しい形に硬くなれないまま大人になってしまうと変形することもあります。これがときに、思春期の特発性側弯症として、また大人になってからの側弯症として問題になります。

まとめ

骨の石灰化に必要なもの、それは「運動」です。

これは変形性関節症においても、老年になってからの骨粗鬆症においても重要なことですので、頭の片隅に置いておいていただければと思います。

次回のいこい通信では、骨が変形する仕組みについてお伝えしたいと思います。