低気圧による体調不良の仕組み、女性が気圧の影響を受けやすい理由について【いこい通信No.12】
曇り空や雨降りのとき、体調が悪くなられる方がいらっしゃるかと思います。いわゆる「気象病」、つまり低気圧による体調不良ですね。
しかし、感覚的に低気圧が原因だと分かっていても、気圧の変動がなぜ体調に関わるのかはご存じない方が多いのではないでしょうか。
今回は、低気圧になると体の中でどういう変化が起こるのか、なぜ体調不良になるのかについて紹介したいと思います。
高気圧・低気圧
私たちの体には空気の圧力(気圧)が常にかかっています。空気圧によってギュッと体の内に向かって締めつけられているのです。
高気圧になると、体のまわりの空気圧が一段と高くなるため、体全体がギュゥゥ…としっかり締められ、シャキッ!とします。呼吸や血液循環、免疫力など、体のあらゆるものの機能が高まるため、元気になります。
ところが低気圧になると、体をギュッと締める空気圧が少なくなり、その分、体がダラ~ン・ポヨンと膨らみます。すると、私たちの体内で袋状の形をしている部分が大きく影響を受けます。
袋状の組織:心臓、肺
特に胸郭の中にある心臓や肺など(本来は縮むことで能力を発揮している臓器)は、胸が膨れてまわりからの圧力がかからなくなると、しっかりと縮むことができなくなります。
肺は膨れっぱなし、心臓はちゃんと縮まないとなると、呼吸が浅くなり、血液の循環が悪くなります。こうなると体内に十分な酸素を取り込めなくなり、酸素不足により息切れを起こします。
また、脳はその重要さゆえに、他を犠牲にしてでも酸素を確保しようとするので、脳血流量を増やします。すると、頭蓋は血液(水分)でいっぱいになるため、内圧が高まり、めまい、ふらつき、吐き気などを起こします。それでも酸素不足・血流不足が解決できなければ、頭が十分に働かず、うつっぽくなります。
※こういったときは氷のうを首の後ろに当てたり、氷枕で頭を冷やすことをオススメします。その理由については、いこい通信No.5をご一読ください。
袋状の組織:腹部の臓器
肺が膨れて胸郭が動かなくなると、横隔膜を隔ててその下にあるお腹の臓器、胃や腸、肝臓、膵臓、腎臓などすべての臓器の働きが鈍ります。
消化器官がちゃんと働かないので食欲がなくなったり、臓器による水分調整も十分行えず手足や顔がむくみます。副腎は抗ストレスホルモンが分泌しにくくなり、肝臓や腎臓はきちんと有害物質を解毒できず肌が荒れます。
袋状の組織:関節
意外かもしれませんが、関節も袋状の形をしています。関節包という袋の中で骨と骨がつながって関節の形をとっており、低気圧になるとその関節包が膨れます。
リウマチや関節症の患者さんが、低気圧が近づいて雨降り模様になると「古傷が痛む」「関節の節々が痛む」と話されるのはこのためです。
なぜ女性は低気圧の影響を受けやすいのか?
低気圧の影響を受けやすいのは、圧倒的に女性です。理由の一つとして、男性と女性の呼吸の型の違いが挙げられます。
女性は胸式呼吸(胸郭を拡縮する運動)、男性は腹式呼吸(横隔膜を使った運動)で主に呼吸を行っています。先述の通り、低気圧になると肺が膨れて胸郭の動きが悪くなるため、胸式呼吸の女性は影響を受けて体調を崩します。
また、筋肉と骨格の違いも理由に挙げられます。
男性は骨組みが頑丈で胸筋や腹筋がよく発達しており、筋肉の鎧を備えている形をしているため、気圧変化の影響をさほど受けずにすみます。一方、女性は柔らかな筋肉と骨格をしているため、気圧変化に弱く、影響を受けやすいのです。
沼井