笑う門には福きたる、前向きで明るい気持ちが体を元気にさせる【いこい通信No.13】
微笑みに勝るものなし。
日々患者さんと接していると、そう感じることがあります。
今回は人の笑顔と体の関わりについてふれたいと思います。
大人につれて消えていく笑顔
友人に会ったとき、お店のレジに立ったとき、バスから下車するとき、日常のふとしたときにニコッと相手に笑顔を届ければ、相手から笑顔が返ってきます。
笑顔は自分もまわりも幸せな気持ちにしてくれます。
子どもの頃はよく遊んで、おどけた真似をしたり、ちょっとしたことでも面白おかしく笑い転げた記憶があります。ご高齢の方々が子どもたちから元気をもらえるのは、子どもたちの屈託のない笑顔のおかげかもしれませんね。
しかし、成長するにつれて、おどけたり、笑ったりすると「ふざけないで」「もっと真剣にしなさい」と言われるようになります。社会に出るとそれはより顕著になり、現場や会議、葬儀などの場では、ユーモアや笑いは不謹慎とされてしまいます。
子どもの頃はあれだけ豊かだった表情が消えていき、大人になった私たちは何事にも真剣な面持ちでのぞむようにようになります。
笑顔がなくなれば、体も落ち込んでしまう
苦悩に満ちた表情、怒りに満ちた怖い表情、気分が沈んだ暗い表情などを常日頃からしていると、自分自身だけでなく、まわりの人たちをも悩ませ、苦しめてしまいます。そして、相手から同じ表情が自分に返ってきて、さらに苦しみが深くなっていきます。
笑いの表情がなくなることは、体にとっても苦しいことです。
以前、いこい通信No.5・No.6でお伝えしたことがありますが、ずーっと思い悩み苦しんでいると、脳はどんどん・どんどん熱くなっていきます。心も体も落ち着かず、ぐっすり眠ることができません。
また、免疫を司っている最大の臓器は脳ですから、明るく前向きな気持ちがなくなり、精神的に落ち込んでしまうと免疫力も低下してしまいます。
笑いは人体で入手できる最強の薬
難病を笑って治したアメリカのノーマン・カズンズというジャーナリストは「笑いは脳を病気と闘うように出勤させる」と語っています。
お腹を抱えて大笑いし、前向きで明るい気持ちに切り替えることができれば、笑いはどんな薬よりも効果があります。笑顔一つで人は病気になることもでき、回復することもできるのです。
優しく穏やかな笑顔を自分に、そしてまわりに投げかける。
それが素晴らしいものであるということを、一医療者である私自身も忘れてはいけないな…と皆さまに教えていただく毎日です。
沼井