花粉症と抗ヒスタミン薬(4):花粉症の対策は体内の不要物を捨てること【いこい通信No.26】
前回のいこい通信No.25では、抗ヒスタミン薬を含め、薬に頼りすぎるとかえって治癒を遠ざけてしまうというお話をしました。
花粉症のくしゃみ・鼻水・涙といった不快な症状。どうにか緩和させたいけど、薬では完治しない。じゃあ、どうすればいいのか?
重要なのは「治す」ではなく「いかに体内の不要物を捨てるか」です。それを踏まえて、今回は花粉症対策についてお話をしていこうと思います。
アレルギー症状は体の警告サイン
花粉症のアレルギー症状は、飛んできた花粉(私たちにとっては不要物)が体内に大量に侵入し、それを排除しようとヒスタミンが働いた結果現れます。
花粉を体内で上手く処理できるうちは無症状もしくは軽度で済みますが、花粉の処理が追いつかない+次から次へと花粉が体内に侵入してくる状態になると、体は必死になって排除を試みようとします。それが私たちをいつも悩ませている、あの酷い花粉症の症状です。
言い換えれば、花粉症の症状は「処理が追いつかないくらい、体内は花粉(不要物)でいっぱいの状態です」という警告サインです。
解決するには体内の不要物を排除し、新たに不要物を体内に入れない必要があります。「体内の不要物の排除」は特に重要です。
花粉症を会社に例えると、繁忙期(花粉の季節)に入って社員たち(ヒスタミン)が仕事(花粉)の処理にてんてこ舞いになっている状態です。くしゃみ・鼻水・涙などの症状は、社員たちが会社(私たちの体)を守るために必死になって働いている証拠であり、同時に「もう仕事でいっぱいいっぱいです!!」というSOSサインでもあります。助けてあげるには、仕事をスムーズに行えるよう環境を整えたり、極力仕事を追加しない必要があります。
体内の不要物を排除する
すでに侵入してしまった花粉(不要物)を体内から排除する(解毒・排泄)にはどうすればいいか。その対策方法を見ていきましょう。
①食事:タンパク質の摂取をひかえる
花粉症をはじめとするアレルギー性疾患。そのアレルギーを引き起こす物質をアレルゲンといいます。
アレルゲンは花粉や卵、牛乳、肉類、ハチ毒などさまざまですが、主な成分は『タンパク質』です。
そのため、アレルギー症状が出ているうちは肉類、卵、乳製品などのタンパク質摂取を極力ひかえ、野菜や海藻、発酵食品を中心とした「少食」の食事を心がけましょう。

「それ本当に効果があるの?」と思われるかもしれませんが、アレルギー性疾患の特効薬としてステロイド剤(糖質コルチコイド)が使われているのが何よりの証拠です。
ステロイド剤(糖質コルチコイド)の作用の一つには『タンパク質の分解』があり、このことからも「過剰なタンパク質の摂取」がいかに問題かがわかります。
② 食事:摂取する脂質の種類を変える
脂質にはいくつか種類があって、そのうち「オメガ3」や「オメガ6」というものがあります。
「オメガ3」の食べ物は亜麻仁油や魚油などです。炎症を抑える効果があります。
「オメガ6」の食べ物はサラダ油やマーガリンなどです。こちらは逆に炎症を強める効果があります。
花粉症などのアレルギー性疾患は一種の炎症ですので、少なくとも症状が出ているうちは「オメガ6」の摂取をひかえ、意識的に「オメガ3」を摂取するようにしましょう。
③ 食事:発酵食品や食物繊維を摂取する
加工食品や過度な肉食をひかえ、発酵食品や植物繊維を多く含む食べ物を意識的に摂取し、腸内に乳酸菌や酪酸菌、ビフィズス菌など、いわゆる「善玉菌」を増やすようにしましょう。
というのも、腸内環境とアレルギー症状の関連が近年の研究で詳しくわかってきました。
私たちの腸には、多種多様な細菌が一定のバランスを保ちながら棲みついるのですが、特定の腸内細菌だけが増えたり減ったりするとそのバランスが乱れ、アレルギーの発症にも影響を及ぼします。
現代日本の食生活は加工食品やインスタント食品が増える一方、野菜や穀物を皮ごと食べる機会はどんどん減っており、腸内細菌のバランスが悪い方に傾きがちです。
しかし、幸運なことに日本には味噌やしょうゆ、納豆、お酢などの発酵食品を食べる文化があり、また豆類や芋類、きのこ類、玄米などの食物繊維も摂取することができます。これらは善玉菌のエサとなるため、なるべく意識して摂取するようにしましょう。(エサが増えれば、善玉菌が私たちの体に必要不可欠な物質をたくさん生み出してくれます)
なお、薬(胃薬や抗生剤など)は腸内細菌のバランスをいとも簡単に乱してしまうため、必要に迫られない限りはなるべく服用を避けた方がいいでしょう。
④ 食事:その他
以下の成分も花粉の排除に役立ってくれます。
ビタミンC…皮膚や粘膜を強くする
MSM(イオウ)…炎症を抑える効果あり
⑤ 鼻をかまない・目をこすらない・かゆいところは冷やす

花粉が鼻の粘膜にはりつくと、ムズムズして必要以上にティッシュで鼻をかんでしまいます。目の粘膜に花粉がはりつくと、むずがゆくなって何度も目をこすってしまいます。
それを毎日毎日繰り返すと酷い炎症に発展し、最初は少量で済んでいたはずの鼻水や涙はどんどん増え、やがて顔全体がズルズルになっていきます。
そのため、かゆくても極力「鼻をかまない」「目をこすらない」ようにすることが大切です。
鼻水や涙が止まらないのは不快かもしれませんが、花粉の排除には必要なことですので、一時のことだと思ってグッとこらえましょう。
また、鼻がムズムズするときは「首の後ろを氷水で冷やし」、目がかゆければ「目元を濡れタオルで冷ます」とそれほど大げさにならずに済みます。
⑥ その他
- 花粉が襲来する時期は、普段よりも炎症(発熱・充血)が起こりやすい状態になっているため、頭を冷やしましょう。
- 花粉を排除(解毒・排泄)するのにも、体の余熱を取るのにも水分が必要です。水分補給をこまめにするよう心がけましょう。
- 肝臓や腎臓、肺の機能が高まると花粉の排除(解毒・排泄)が促されます。歩いたり、整体などで体を整え、内臓機能や呼吸機能を高めるのも一つの手です。
最後に
花粉症と抗ヒスタミン薬のお話は以上となります。
重ねてになりますが、花粉症のアレルギー症状は体を守るための正常な反応です。薬で症状を一時的に緩和することはできても治すことはできません。
むしろ、薬を長く使えば使うほど、体に耐性ができて薬の量が増えたり、症状が酷くなったり、治癒が遅れたり、腸内環境が乱れるなど、さまざまな欠点が目立ちます。
薬に頼りきってしまうのではなく、ご自身の体に備わっている抵抗力を信じ、花粉を排除するための力を養ってあげるという選択を一度考えてみませんか。
沼井