日頃から鼻をよくかむのは逆効果?花粉症を悪化させる習慣について【いこい通信No.48】

花粉症の方の日常生活の習慣(癖)を観察すると、実は面白いことが見えてきます。

  • 日頃から鼻をよくかむ
  • 強くかむ
  • 鼻をすする

これらの行為は一見、鼻がきれいになるので良いように思われますが、実はこの習慣(癖)を毎日何度も何度も繰り返すと花粉症を悪化させる原因となります。

それはなぜか、順を追って説明していきます。

現代では鼻をかむのが当たり前

うちの娘がまだ幼かった頃、長期の休み明けから保育園に通い出すと必ずといっていいほど鼻炎と結膜炎になりました。なぜかな?と思ってよく観察してみると、保育園では鼻水が少しでも出たら保育士さんたちがすぐにティッシュで鼻をかませていました

一昔前までは、子どもたちが外で遊んでいると一人や二人は必ず鼻水や青っぱなを垂らしている子がいました。今のように上等なティッシュはなく、鼻かみ用の布切れも少なかったため、子どもたちは服の袖を使って鼻水を拭いていました。(そのため、いつも服の袖がテカテカになっていました)

現在はそんな子はほとんど見かけません。鼻の下や口元がとてもきれいになりました。

今は家のいたる所にやわらかいティッシュが置いてあります。子どもから大人まですぐに鼻をかむため、あちらでフーフー、こちらでフーフーという光景がよく見られます。

鼻がちょっとでもむず痒かったり、鼻水がちょっとでも出ようものなら近くにあるティッシュを取って何度も何度もフーフーします

鼻水で鼻が詰まれば、不快感から解放されるために思いっきり鼻をかみます。一時の爽快感が得られますが、しばらくするとまた鼻の中の不快感が襲ってくるため、ブーブー!と鼻を強くかむという光景がよく見られます。

ここまで読むと「え?いったい何が悪いの?」と疑問に思われる方が多いと思います。一見、良い行為のように思うかもしれませんが、“繰り返し鼻をかむ”ということ自体が問題なのです。

鼻粘膜は非常にデリケート

実は、鼻粘膜(鼻の粘膜細胞)は皮膚と違って非常に弱い組織です。

鼻をちょっと強く5~6回擦ろうものなら、すぐに鼻粘膜に傷ができ、炎症を起こして透明な鼻水が出てきます。それほどデリケートな所なのです。

皮膚だって、床や壁などで強く擦ったら多数の擦り傷ができて真っ赤になり、そこから透明の液体が出てきます。それと同じことです。

強い鼻かみ=超大型台風並みの風圧

口から発せられる咳やくしゃみのスピードは時速200~400kmといわれています。これは新幹線やジェット機のスピードと同じです。

鼻を強くかむということは、超大型台風が鼻の中(鼻腔)を通り抜けるのと同じです。

そればかりか、通り抜ける際にその風圧によって鼻粘膜が傷つけられます。何度も鼻を強くかんだり、鼻をすするということは、鼻の中に時速100km級の台風が何度も通り過ぎるのと同じです。鼻粘膜はたまったものではありません。

くしゃみと鼻水は体の防御反応

日頃から鼻をかむ習慣がある人は、花粉が飛び交う頃になると傷ついた鼻粘膜の所に多数の花粉が入り込むため、むず痒くて仕方がなくなります。(皮膚の擦り傷部分に塩水などがついて、痛痒い状態だと思えば解りやすいかと思います)

鼻粘膜についた花粉(=異物)を取り除くために、生体はまず「くしゃみ」で追い出そうとします。花粉が飛び始めた頃、よくくしゃみが出るのはそのためです。

それでも残って取れない場合は、細胞が炎症を起こして水で洗い流そうとします。それが「鼻水」の正体です。

つまり、くしゃみも鼻水も「体の中に異物が入らないようにするための大切な防御反応」なのです。

花粉症を早く治すには?

花粉症を早く治すためには、できるだけ鼻粘膜を刺激しないことが大切になります。

皮膚の擦り傷もそうですが、早く治したいのなら傷口を触らず、放っておくのが一番です。痒いからといって掻いたり、薬などで刺激してしまうとかえってなかなか治りません

うちの娘は鼻水・鼻づまりがあったため、当時はすぐに耳鼻科へ連れて行きました。

しかし、耳鼻科で処方されるのは「ステロイド剤」や「抗炎症剤」。花粉という異物を排除するための炎症反応であるのにもかかわらず、根本的な原因は何一つ解決しないまま、症状を抑えるだけの対処療法が行われました。

点鼻薬で一時的に鼻水も止めてしまうため、せっかく花粉を追い出すために水(鼻水)で洗い流そうとしている生体の防御反応を阻害してしまうばかりか、薬の毒性・副作用で鼻粘膜をより一層傷つけることになります。

また、服薬すると免疫力の低下をまねくため、花粉以外の煤煙や化学物質にも非常に弱くなります。

耳鼻科で鼻の穴からもの凄い勢いの空気圧をかける治療法がありますが、あれも当然、鼻粘膜にダメージを与えます。自然界において鼻に強烈な空気圧を外から受けるということはまずなく、猿から進化した人の体もまた、それを想定して作られていません。もし一時的に鼻の通りがよくなったとしても、強風を受けた後の鼻粘膜は傷つけられて、より一層鼻炎や鼻づまりを促すことになります。

結局、うちの娘も、耳鼻科を何年も受診したにもかかわらず症状は良くなるどころか、年々酷くなっていきました。

最後に

昨今は「抗ヒスタミン薬」や「ステロイド点鼻薬」などがドラッグストアで簡単に購入できます。花粉症を和らげるための注射もあります。(関連記事:いこい通信No.23いこい通信No.47

しかし、それは一時的なその場しのぎの対処療法であることを忘れてはいけません。将来的にはリスクとなって自分に返ってくる可能性があります。

薬ですべて解決しようとするのではなく、まずは食事の内容、間食の回数、日々の歩行量を見直し、鼻をかむことを極力控えるなど、日常の習慣を見直すことから始められるのが良いのではないかと思います。

山田